別のところ(獅子風蓮の青空ブログ)で、こんな記事を書きました。
柳原滋雄氏のブログより その17 トランプはサイコパスなのか?(2025-11-25)
「妙法のジャーナリスト」柳原滋雄氏は、トランプ大統領を「サイコパス」だと断定しています。
私も、トランプは極めて問題の多い人物だと思っています。
しかし、それが厳密な意味で「サイコパス」と言い切れるかどうかは、自信がありません。
ノーベル平和賞を無邪気に欲しがってみせたり、子どもじみて愚かな人物だとは思うのですが、そんな人物を大統領に選んだアメリカ国民の多くの人々に対する失望の方が大きいかもしれません。
アメリカ人って、バカなの?
そして、探してみたら、そのものズバリのタイトルの本を見つけました。

アメリカ人は「自由」という言葉をことさら好むが、これは「勝者は敗者に何をしてもよい」という自由だった!すさまじい拝金主義、はびこる人種差別、世界一高い医療費、割り算のできない学生がいっぱいの名門コロンビア大、年々広がる貧富の格差、銃を野放する殺しあい社会…なのに、そんな自国が大好きなアメリカ人を、冷静に論じた快著。
かいつまんで紹介したいと思います。
『アメリカ人はバカなのか』
□まえがき
■第1章 誰のための好況か?
――繁栄の果実を味わえない中産階級
□市場がすべてを解決するのか?
■二極分化が落とす危うい影
□取り残された中産階級
□庶民の生活は以前より困難に
□広がる所得格差
□主婦が働きに出る本当の理由
□ニューエコノミーのからくり
□苦渋をなめるのは庶民だけ
■骨抜きにされた労働組合
□経済のグローバル化で本当に得をするのは誰だ?
□CEOは疫病神?
□二極分化がもたらしたもの
□愛国心が強すぎるのも考えもの
□勝利のためなら手段を選ばない
□米国はユートピアにあらず
□富裕層だけが得をする税制
□第2章 危機に瀕するデモクラシー
□第3章 米国は平等なのか?
□第4章 「一人勝ち」の代償
□番外編 リストラ体験レポート
第1章 誰のための好況か?
――繁栄の果実を味わえない中産階級
二極分化が落とす危うい影
骨抜きにされた労働組合
どうして一般市民はこんなに搾取されるのでしょうか。その理由は、一言でいうと、寡頭政治によってできた富裕者優遇の社会制度だと私は考えているのですが、それについてはおいおい明らかにすることにして、ここでは、その一つである労働組合の弱体化についてお話しします。従来から、賃金を上げるには、労働組合の力を借りるのが、伝統的な手段でしたが、これが、完全に骨抜きにされているのが現状です。
そのきっかけを作ったのが、庶民キラー、ロナルド・レーガンです。レーガンは、“I represent hard working, forgotten Americans ”などと勤労者を代弁することを標榜して、共和党ながら一般庶民から大支援を受けて、現職のジミー・カーター大統領を破って大統領に就任しました。
ところが、大統領に就任した途端、掌を返して大々的な労働組合撲滅キャンペーンを実施したのです。当時の米国が国際競争力を失い、インフレが悪化しているのは、米国内の賃金が高すぎるからだという説をごり押しして、「そうかもしれない」という風潮を上手く作り出したのは有名な話です。
大衆を愚弄するのは、元役者だけあって抜群です。レーガンは労働組合を圧力団体と名指しで批判して、まずはスト中の組合員を永久に補充する職員を採用することを許可しました。要は、ストに参加したらクビです。
次は、実践です。「隗より始めよ」と、1981年、就任の手土産にストに入った航空交通管制局員1万人を解雇しました。さらに、テレビCMなどを駆使して、人々に労働組合に対する悪い印象を植え付けることに成功しました。
これは、企業としてみれば、政府のお墨付きを貰ったようなものですから、ここぞとばかりに組合潰しをおおっぴらに展開し始めました。具体的にはこうです。スト中の労働者の解雇。スト破りの奨励。労働組合に入りそうな人を、人種、バックグラウンドなどでスクリーニング。組合入り=解雇の印象を与える。組合員の左遷、などなどです。その結果、組合員は、レーガン政権最初の2年で300万人も減少しました。
その一方で、レーガンは任期中、徹底的に富裕者に尽くしました。法人税を大幅に下げたばかりか、最高税率に至っては70%から25%にまで下げるなど、そのカリスマ性を利用してやりたい放題でした。
そこに駄目押ししたのが、後任のジョージ・ブッシュでした。ブッシュは、優しい政府(Kinder, gentler nation)を標榜しながら、金融機関の不良債権処理に多額の血税をつぎ込んだばかりか、レーガン時代に労働運動がすっかり骨抜きにされたのをいいことに、子供の病気や、出産などの理由で休む権利を認めた Family Leave Act を1991年に廃止すると いう暴挙を行ったのです。
「妻の出産には必ず立ち会う。立ち会わないと離婚」という話は、米国の美談の一つとして伝えられていますが、実際は、一般従業員であれば、休めばその分給料は出ないため家計にも影響が出るし、場合によってはクビもちらつくので、立ち会わない場合が意外と多いのです。
嘘と偽善に塗り固められたレーガン、ブッシュ政権の共和党支配が終焉を迎えたのが、1992年でしたが、悪党はしぶとい。ブッシュは大統領選に敗れた後、その座を降りるまでの2カ月の間に、北米自由貿易協定(NAFTA=North American Free Trade Agreement)に調印しました。
【解説】
大衆を愚弄するのは、元役者だけあって抜群です。レーガンは労働組合を圧力団体と名指しで批判して、まずはスト中の組合員を永久に補充する職員を採用することを許可しました。要は、ストに参加したらクビです。
レーガン、ブッシュ政権の共和党支配の間に、こうして労働運動が抑え込まれていったのですね。
獅子風蓮