獅子風蓮のつぶやきブログ

創価を卒業し、組織にしばられず、いろいろ考えたりしたことや、読書感想などを書いています。

小林至『アメリカ人はバカなのか』を読む その35

別のところ(獅子風蓮の青空ブログ)で、こんな記事を書きました。

柳原滋雄氏のブログより その17 トランプはサイコパスなのか?(2025-11-25)

「妙法のジャーナリスト」柳原滋雄氏は、トランプ大統領を「サイコパス」だと断定しています。

私も、トランプは極めて問題の多い人物だと思っています。
しかし、それが厳密な意味で「サイコパス」と言い切れるかどうかは、自信がありません。
ノーベル平和賞を無邪気に欲しがってみせたり、子どもじみて愚かな人物だとは思うのですが、そんな人物を大統領に選んだアメリカ国民の多くの人々に対する失望の方が大きいかもしれません。

アメリカ人って、バカなの?

そして、探してみたら、そのものズバリのタイトルの本を見つけました。

小林至『アメリカ人はバカなのか』(幻冬舎文庫、2003年)

 

アメリカ人は「自由」という言葉をことさら好むが、これは「勝者は敗者に何をしてもよい」という自由だった!すさまじい拝金主義、はびこる人種差別、世界一高い医療費、割り算のできない学生がいっぱいの名門コロンビア大、年々広がる貧富の格差、銃を野放する殺しあい社会…なのに、そんな自国が大好きなアメリカ人を、冷静に論じた快著。

かいつまんで紹介したいと思います。

 

『アメリカ人はバカなのか』

□まえがき
□第1章 誰のための好況か?
■第2章 危機に瀕するデモクラシー
 □国家という名の権力装置
 ■政治と銃の蜜月が「自由」を蝕む
  □誰もが銃の禁止を望んでいるが……
  □ニューヨークへようこそ?
  □「銃禁止」で困るのはワシントンだけ
  ■金欲しさで人殺しに加担する政治家
  □高まる黒人市民の不満

□第3章 米国は平等なのか?
□第4章 「一人勝ち」の代償
□番外編 リストラ体験レポート

 


第2章 危機に瀕するデモクラシー
――自由の国・アメリカの「真実」とは

政治と銃の蜜月が「自由」を蝕む

金欲しさで人殺しに加担する政治家

もう一つ、これも先に触れましたが、民意が反映されないよう、組織票だけで決まるよう、選挙が火曜日に行われることも銃の禁止を阻んでいます。
大統領予備選の山場を、スーパー・チューズデーなどと格好いい名前をつけていますが、一般庶民は、夜、結果速報を見るためにチャンネルをひねるのがせいぜいで、昼間は忙しくて投票になど行きはしません。私が以前にいた会社でも、先日の市長選挙も、エレクション・デーも、休日ではありません。
確かに仕事中抜け出して行くことは許可していますが、そうまでして投票する人間は、見たことがありません。要は、民意が反映されないような制度となっているわけです。
今春行われたオーランドの市長選挙の投票率は29%で、現職の女性市長は「企業の利益を代表するだけで庶民を切り捨てる鬼婆」という一般人のコンセンサスもなんのその、蓋を開けてみると、楽々と5選を果たしています。
銃に関する議会での顛末を見ていると、改めてこの民不在の米国政治がよく見えてきます。ショッキングな銃犯罪が頻発し、いくら銃禁止の声が高まっても、その声は、議会に届く頃には「銃規制強化法案」に、審議中に「銃安全対策法案」に、そして、人々が忘れた頃を見計らって、廃案になるという、子供でも騙されない茶番劇が繰り返されてきました。
今回も、米国憲法修正第二事項を盾に取ってみたり、「凶悪犯罪の原因は銃ではなく暴力映画だ」「(NRAから政治資金を受け取っていない)クリントンは、NRAに責任を転嫁するために凶悪犯罪がわざと起こるように仕向けている」などの不毛な議論の果てに辿りついた結論は、銃をもっと安全な構造にしようという案でした。
名付けて「安全ロック」と「スマート銃」。前者は、「安全ロック」を解除しなければ引鉄が引けないような設計にする。後者は、銃の登録者以外が手にしても発砲できないような仕組みにするそうです。
私はかねてから、外国人に日本の話をするとき、政治制度の話をするのを避ける傾向がありました。適当にお茶を濁したりして。指命手配の犯人かと見紛うような人相が悪いプロの政治屋と、どう見ても知性も教養もないタレント、スポーツ選手ばかりだという事実は、とくに普段、我々は世界で最も賢く勤勉な民族だと公言している手前、恥ずかしくて、とてもいえるようなものではありませんし、かといって嘘もつけません。
それでも、人殺しに加担しておいて、しれっとしている米国の政治家よりはましか、と思います。レベルの低い比較で悲しいのですが。
銃規制法案が唯一通った最近の例は、1994年に僅差で議会を通過し法案化された通称ブレイディ法ですが、これも中身は空っぽです。法案の骨子は、「殺傷力の強い銃の製造、及び販売の制限」「警察官の増員――6年間で10万人」「銃犯罪を3度繰り返した者に対しては問答無用で終身刑」「死刑適用の拡大」の4つです。一般人が拳銃を手にすることを禁止するどころか、制限すらしていないという、これ以上のザル法はありません。
そして最後には、「銃が人を殺すのでなく、人が人を殺すのだ」というNRAの詭弁が、罷り通ることになるのです。

 


解説

銃に関する議会での顛末を見ていると、改めてこの民不在の米国政治がよく見えてきます。

 

「民不在の米国政治」……なんて皮肉な指摘なのでしょう。

獅子風蓮