獅子風蓮のつぶやきブログ

創価を卒業し、組織にしばられず、いろいろ考えたりしたことや、読書感想などを書いています。

佐藤・山口「いま、公明党が考えていること」を読む その19

公明党が政権を離脱して、高市内閣が発足しました。
日本維新の会と連立を組んだ自民党は、保守色を強めています。
公明党が与党でいることで政権内のブレーキ役を果たしていると言われてきましたが、図らずもそれを証明した形になっています。

少し古い本ですが、佐藤優氏と元公明党代表山口那津男氏の対談本を読み返すことで、与党内で公明党が果たした役割について振り返ってみたいと思います。
もとより、公明党に都合のいいことしか書いてありませんが、そこは「内在的論理を読み解くため」です。
かいつまんで紹介します。

佐藤優山口那津男「いま、公明党が考えていること」
(潮新書、2016.04)

 

□まえがき    佐藤 優
□第1章 公明党とはいかなる存在か
■第2章 公明党の「平和主義」の本質とは何か
 □集団的自衛権と平和安全法制をめぐる公明党の戦い
 □「七・一閣議決定」によって守った日本国憲法の平和主義
 □「戦争法案反対」「徴兵制が始まる」は現実とは正反対の空想
 □デモ行進に参加する反対派のおかしな主張
 □「政権与党のブレーキ役」としての公明党の役割
 □湾岸戦争の苦い経験からPKO参加へ転換した大きな決断
 □公明党の根底に流れる「存在論的平和主義」
 □「平和の党・公明党」の原点
 □ソ連共産党がもっとも評価していた日本の政党・公明党
 □池田SGI会長の傑出した日中外交、日ソ外交
 □朴槿恵大統領、習近平国家主席と対話のチャンネルを開いた山口代表
 □習近平国家主席と計5回会談した日本で唯一の政治家
 □「政治的野心」を超克した大局観と中道外交
 □日韓友好の橋渡しをする150万人の韓国SGIメンバー
 ■尖閣諸島問題を「棚上げ」にした周恩来総理の英断
 □「人間の安全保障」と公明党存在論的平和主義
 □人間主義と対話に根ざしたテロリズムとの戦い
 □SGIの世界宗教化と公明党の与党化

□第3章 軽減税率と中小企業対策
□第4章 福祉の党「公明党」が描く日本の未来
□第5章 地方創生と震災復興
□あとがき   山口那津男

 


第2章 公明党の「平和主義」の本質とは何か

尖閣諸島問題を「棚上げ」にした周恩来総理の英断

佐藤 創価学会公明党は偏狭なナショナリズムにとらわれません。それだから、竹島尖閣諸島をめぐって感情的に韓国や中国と対立することはありません。ナショナリズムを超克し、WIN-WINゲーム(双方が利益を得る仕組み)を組み立てられる。これが公明党ならではの強みです。
尖閣諸島をめぐる領有権問題は存在しない」。平たく言えば、「領土問題は存在しない」。これが日本政府の立場です。それに対して北京の中国政府には別の主張があります。尖閣諸島台湾省の一部であることを中国政府も認めています。尖閣諸島問題を平和的に解決するためには、日中両国の地方政府関係者、すなわち台湾や香港、さらに福建省沖縄県の代表者が一堂に集まり、海上事故の防止や漁業資源の使用について地域間交渉をすることは可能なはずです。

山口 ローカル・アグリーメント(地域協定)にしてしまう方法ですか?

佐藤 そう。ローカル・アグリーメントを結んだところで、領土の帰属問題には何ら影響はありません。日本政府としては「我が国には領土問題はまったく存在しない」と言い続ければいいわけです。
過去の先例を見ると、貝殻島歯舞群島の一部)昆布協定、北方四島周辺での安全操業協定という難しい交渉が成功しました。貝殻島では大日本水産会、北海道水産会、ソ連漁業省がコンセッション(独占営業権)を結ぶことで落としどころをつけています。「本件は領土問題とは何ら関係ない。これは民間協定である」という形にしたわけです。これに対して、北方四島周辺の安全操業協定は政府間協定です。
中国や台湾としても、尖閣諸島で無益な紛争など起こしたくありません。ならば智恵を働かせて、貝殻島で実現したようなコンセッションによって紛争を防ぐことは可能です。

山口 田中角栄総理と周恩来総理が、日中国交正常化の交渉を進めていたときのメモが外務省に残っています。田中総理が「尖閣諸島についてどう思うか」と尋ねると、周恩来総理は「尖閣諸島問題については、今、これを話すのはよくない」と言うわけですよね(1972年9月27日の日中首脳会談メモ)。ここで深入りせず、事実上棚上げにしてしまうわけです。尖閣諸島について話し始めれば、日本も中国も互いに譲らずケンカ別れになってしまいかねない。日中国交正常化という大目的を実現するためには、尖閣諸島の領有権にいまこだわるべきではない。性急に決着をつけるのではなく、中国側としては領土問題は当面「棚上げ」としよう――。これは周恩来総理の大変な英断でした。

 


解説

山口 田中角栄総理と周恩来総理が、日中国交正常化の交渉を進めていたときのメモが外務省に残っています。(中略)日中国交正常化という大目的を実現するためには、尖閣諸島の領有権にいまこだわるべきではない。性急に決着をつけるのではなく、中国側としては領土問題は当面「棚上げ」としよう――。これは周恩来総理の大変な英断でした。

 

日中国交正常化の交渉には、公明党の竹入委員長が尽力しました。

このブログでも取りあげました。

「竹入元公明党委員長回顧録」を読む その1(2025-09-29)~

 

公明党日中友好に力を注いだというなら、竹入氏の名誉回復を図り、竹入氏の尽力を正しく受け継ぐ方がいいと思います。

 

獅子風蓮