前回に引き続き、ネットのデイリー新潮に載った記事です。
引用します。
デイリー新潮
賃金が上がらず失業率は上昇… 中国経済は「日本のバブル崩壊後のよう」 習近平は激怒でも「反日デモ」が起きない理由
2025年12月04日

(つづきです)
他にも、2年前に福島第一原発の処理水を理由に中国が中止、今年6月に一部再開を発表した日本産水産物の輸入が、11月19日に再び事実上の停止となった。
だが、北海道紋別市にある「丸ウロコ三和水産」の山崎和也社長に聞くと、
「正直、今のところ影響はありません。これまで2年以上も禁輸措置が続き、弊社はホタテの輸出分をアメリカ、ベトナム、タイ、台湾などに分散させ対応してきました。禁輸前に中国への販売量が増えていたのは事実ですが、今後も同様の政治的圧力で禁輸が起きるのを見越して、仕事を進めていくしかありません」
オホーツク海産の天然モノは、中国のほうが欲していた逸品だったという。
「ホタテは鮮度が非常に大事ですが、冷凍しても日本産は食感が優れている。この品質の良さを中国の業者は評価していて、生で食べるだけでなく加工して欧米へ販売していた。禁輸期間中は加工場を東南アジアに移転せざるを得なかったそうで、彼らは“日本の水産物を中国に入れたい”というのが本音でしょう」(同)
同じく道内の函館市にある「きゅういち」代表取締役社長の餌取達彦氏も、
「どの水産業者も中国市場を前提としたビジネスは進めていないと思います。今回の禁輸措置は残念ですが“またか”と冷静に見ている。ホタテを2次加工する中国の業者は困っているはずです。中国政府は気にしていないのかもしれませんが、自分で自分の首を絞めている面がありますね」
「中国人は日本の水産物を食べたがっている」
愛媛県宇和島市で水産物の輸出入や加工を行う「イヨスイ」の荻原達也社長は、
「中国人は食にぜいたくで、日本へ観光に来る彼らはすしをはじめ和食をよく食べる。東京の豊洲市場でも高価な海鮮丼がよく売れています。本音として中国人は日本の水産物を食べたがっていますね。実際、中国の業者から“日本の魚を買いたい”“売れるようになったらよろしく”という話が来ていましたが、今回の禁輸措置を受けて“困ったな”と言っていました」
度重なる日本への報復は、中国にとって“諸刃の剣”になると指摘するのは、元朝日新聞台北支局長でジャーナリスト、大東文化大教授の野嶋剛氏だ。
「中国が日本への経済制裁で使える主なカードは、『レアアースの輸出規制』と『日本企業へのビジネス規制』の二つ。前者を行えば貿易戦争になり、これまで中国がWTO(世界貿易機関)でも主張してきた自由貿易を守るというコミットメントから外れてしまう。現状、レアアースのカードを切るかは五分五分だと思います」
「日本のバブル崩壊後の様相」
二つ目のカードはどうか。
「トヨタやユニクロなど中国に工場を持つ日本企業を対象にして、不買運動や生産停止措置などを行うのも簡単ではありません。中国経済は冷え込んでいて、国内の雇用を守る意味でも中国政府は日本の大企業を簡単にはたたけない。過剰な経済制裁を中国側が科せば、企業は安心してビジネスができません。日本、ひいては世界中からの投資が遠のきます。市場としての中国は魅力的でも、政治リスクの高さに世界の企業はへきえきしているのですから」(野嶋氏)
居丈高に日本を非難する中国の懐事情は、相当に厳しそうなのだ。
中国事情に精通するジャーナリストで、キヤノングローバル戦略研究所上席研究員の峯村健司氏が解説する。
「中国の経済状況は、日本のバブル崩壊後の様相を呈していて、すさまじいデフレが進んでいます。例えば上海でビールを1本買ったら2本おまけで付いてくるなんてキャンペーンをやっている店もある。北京の銀行に勤める知人いわく、レストランで3000円分の食事をすると、次回使える同額の食事券をもらえる。2回目は実質タダなのです。もはや完全なデフレ経済に陥っていて、賃金が上がらず失業率は高い。就職率も悪く国民の不満がたまっている。習主席は台湾統一くらいインパクトのあることをやらないと、許されないくらい追い込まれています。そうした事情もあって、国民の不満が中国共産党に向かうのだけは避けないといけない」
「世界レベルの反響は現状ない」
ゆえに、12年に日本が尖閣諸島を国有化した際のような激しい反日デモは、今回起きない可能性が高いとして、峯村氏はこう続ける。
「その当時ですら、現地で取材していると反日デモのドサクサに紛れて“胡錦濤(こきんとう)は下野しろ”と訴える人がいました。今は中国の経済状況がかなり悪いので、政府はデモを許してしまうと、その矛先が習体制に向けられることを恐れています。あの時よりも日本への怒りは強いですが、徹底的にコントロールしてデモは起こさないようにすると思います」
となると、中国に残された手駒は少ない。
野嶋氏が言うには、
「今、中国は世界の世論を巻き込んだ『認知戦』を仕掛けています。あらゆる外交の舞台でも日本の不当性を訴えていますが、現状の国際世論を見ても中国の友好国であるロシアや北朝鮮などの国々しか耳を貸さない。世界レベルの反響は現状ないと思います」
日本は冷静に自らの立場を示しつつ、大人の対応が求められているといえよう。
【解説】
「今、中国は世界の世論を巻き込んだ『認知戦』を仕掛けています。あらゆる外交の舞台でも日本の不当性を訴えていますが、現状の国際世論を見ても中国の友好国であるロシアや北朝鮮などの国々しか耳を貸さない。世界レベルの反響は現状ないと思います」
日本は冷静に自らの立場を示しつつ、大人の対応が求められているといえよう。
なるほど、中国の「認知戦」にひっかかって安易に「反省」したり、高市首相批判に乗っかるのは危険ですね。
冷静に対処するべきです。
獅子風蓮