獅子風蓮のつぶやきブログ

創価を卒業し、組織にしばられず、いろいろ考えたりしたことや、読書感想などを書いています。

高市首相の「存立危機事態発言」について その6

高市首相の「存立危機事態発言」に関して、d-マガジンで興味深い記事を読みました。

引用します。

 


ニューズウィーク日本版12月2日号

World Affairs

激高する中国と
どう付き合うべきか

日中関係高市首相の「台湾答弁」でヒートアップする隣国との関係を見直す時
練乙錚 (リアン・イーゼン、経済学者)

 

11月7日に衆院予算委員会で答弁する高市首相
(写真は、同誌より)


国会質疑に答えた高市早苗首相の一言が、嵐の吹き荒れやすい日中外交の空を真っ赤に染める火種となった。
発言があったのは11月7日。台湾が武力攻撃を受けた場合、日本が集団的自衛権を行使する「存立危機事態」になり得るというものだ。この発言は、2015年に成立した安全保障関連法に基づく、ごく平穏な法的見解にすぎなかった。ところが、中国は激しく取り乱した。中国外務省は高市発言を「中国の内政への重大な干渉」と非難し、謝罪と発言の正式な撤回を要求した。高市はこれを拒んだ。彼女に引き下がるつもりなどあるはずがない。
この小競り合いが激化する可能性は低い。高市発言の背後にあるのは、安倍晋三元首相が21年に初めて明言した「台湾有事は日本有事」という基本姿勢だ。この立場は既に日本社会で確立されており、中国も十分に理解している。今までと違うのは、高市が言葉を濁さず、仮定の例を明確に示したことくらいだ。
それでも中国政府は国民に訪日自粛を呼びかけ、予定されていた日本企業の訪中団との会談を取りやめ、日本産水産物の輸入を停止するなど、怒りに満ちた行動に出ている。中国がこうした態度を取るのは初めてではない。
12年に日本政府が尖閣諸島の3つの島を国有化したとき、中国側は怒りを爆発させた。国内の約100都市以上で反日デモが起こり、暴徒が日本車を破壊し、日本へ行く中国人観光客は40~50%減少した。日本の経済損失はGDPの約0.8%に上った。
私の計算では、全体的な被害規模は16年の熊本地震と同程度だろうとみられる。今回の対立による悪影響も、同じ規模になるかもしれない。
しかし、意図的で挑発的な軍事衝突やそれ以上の武力行という力ずくの対応に発展する可能性は低い。騒動が大きくなれば、日本企業の大量撤退と、それに伴う国内労働者の大規模な失業を招く恐れがあるからだ。いま景気後退が深刻化すれば、中国の体制が不安定化しかねない。
しかも根深い汚職が蔓延する人民解放軍は、日清戦争西太后の浪費による戦費の不足で北洋艦隊が日本に惨敗したときよりもさらに劣悪な状態にあるともみられている。中国政府がここで深呼吸し、台湾問題に関する怒りを抑えて、もう少し自制を働かせることができれば、大きな利益を得られるだろう。逆説的だが、これは日本が台湾の地位が未確定であると正しく理解していることと深く関わっている。その点を確認するために、台湾に関する日本政府の発言を見てみよう。
12年に国会に提出された「台湾返還に関する質問主意書」によれば、1964年2月25日の衆院予算委員会で当時の池田勇人首相は「サンフランシスコ講和条約の文面から法律的に解釈すれば、台湾は中華民国のものではございません」と答弁している。続けて池田は、ポツダム宣言などから考えると「日本は台湾の領有権を放棄しており、その帰属は連合国が決めるべ き」とした上で、「中華民国政府が現に台湾を支配」していると指摘。そのために「各国もその支配を経過的なものと申しますか、世界の現状から言って一応認めて施政権があると解釈しております」と述べた。


真の懸念が生んだ発言

高市はこの歴史的事実をよく知っているはずだ。そこで、11月7日の発言に至った高市の論理と思考プロセスを以下に想像してみる。

「主権が定まっていない主体(台湾)に対して中国が軍事力を行使すれば、その時点で国際法違反となる。その違法行為が日本の存立危機となる場合、例えば広範囲にわたる海上航路や飛行路が長期間封鎖され、エネルギー・食糧その他の重要物資の安定した最低限の輸入が不可能になるような事態が生じた場合、日本が武力を行使してそうした事態を解決することは完全に正当化されるし、実際にそれ以外の選択肢はない」

この考えに沿えば、高市の発言は中国の内政に干渉したいからではなく、国家存亡に関わる真の懸念から生まれたものと捉えられる。干渉と国家存亡、日本にとってどちらのインセンティブが強いのか、中国は考えるべきだ。
答えは、言うまでもなく後者だ。中国は、自らが台湾に対して行動を起こし、日本が存亡を懸けて全面対決の姿勢を示す前に考え直さなければならない。そうした事態を引き起こせば、日本は確実にアメリカを紛争に引きずり込む。あるいはアメリカの介入で日本が紛争に巻き込まれるかだ。だが、なぜ中国はここまで反発するのか。台湾の地位に関する曖昧さと経緯については、第2次大戦の主要連合国も認識していた。
近年では、台湾の曖昧な地位に対して強い支持を打ち出す西側諸国も増えてきた。根底にあるのは、71年の国連総会2758号決議だ。同決議の採択により、中華民国(台湾)に代わって中華人民共和国が国連の活動に参加することとなった。


撤回を求めるのは的外れ

だが、中国政府は決議内容を歪曲し、台湾の主権も中国に付与されたという虚偽の主張を行った。当然ながらナンセンスな言い分だが、多くの国々は貿易や投資の便宜上、これまで中国に同調してきた。しかし最近になって、風向きが変わってきている。
オーストラリア上院は昨年8月、中国が国連2758号決議を乱用していると非難する動議を全会一致で可決した。この動議は、2758号決議について「中華人民共和国の台湾への主権を確立するものではなく、国連における台湾の今後の地位を決定するものでもない」と表明。オランダ、EU、カナダ、イギリス、ベルギーの議会も後に続いた。各国議会の措置は、中国による台湾への軍事侵攻の非合法性を指摘することで、台湾にとってかなりの抑止力となってきた。高市は中国側がつくり上げた「一つの中国」という虚説をほじくり返さなかったが、それでも彼女の発言は台湾の心理的な支えになっている。
高市と歩調を合わせる国は、国際社会に数多く存在する。高市に発言撤回を求めた日本の野党議員のほうが、むしろ的外れだ。
中国の狙いは、過剰反応してみせることで、高市に政治的危機を仕掛けることにあるのかもしれない。だとすれば、高市は危機を乗り切れるのか。
高市も政権も動じることはなく、新たな連立パートナーである日本維新の会高市を支持している。共同通信社世論調査によれば、毅然とした姿勢を貫く高市の支持率は首相就任時の前回10月調査か5.5ポイント上昇して、69.9%となった。
高市にとって追い風となったのは、日本の変化だ。
日本は「失われた数十年」の影を脱した。人口は減少しているものの、GDPは成長。2010年のレアアース・シヨック以降、政府は10年を費やして重要鉱物の供給源を多様化する一方で、環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)を推進し、米軍向けの地対空誘導弾パトリオット(PAC3)など最先端兵器の受託生産国にもなった。防衛費はGDP比2%、あるいはそれ以上へと着実に向かい、「投資の神様」と呼ばれるウォーレン・バフェットは、日本企業への投資を着々と増やしている。
中国による大規模な「日本ボイコット」の悪影響はやはり生じるだろうが、以前ほどの打撃ではないだろう。


笑みを絶やさず冷静に

こうした状況の下、日本国民は従来の無難な政治指導者では満足しない。有権者が求めるのは、新鮮で、活力に満ち、国際感覚を備え、国の針路を明確に示す人物だ。日本初の女性首相である高市は、そうした指導者の不在を埋めつつあるようにみえる。
日本にとって極めて重要な台湾問題で、高市は誰もが内心考えていることを公然と発言する胆力を示した。中国の誤った主張が強い影響力を持つ状況を打開する、新たな議論の糸口を提示したのだ。
だが、中国への対処を迫られる状況はなお続く。高市が今回の嵐を乗り切れたとしても、中国は新たな危機をつくり出すため、日本政治の対立構造を徹底的に利用しようとする。民主主義体制の中で活発な対抗勢力は不可欠ではあるものの、党派間の対立は国内にとどめておくほうが日本にとっては望ましい。
日中関係が今後さらに険悪になることは明らかだが、両国が2国間の大半の分野で明確なデカップリング(分断)を望んでおらず、それを許容する余裕がないことも明らかだ。それでも日本の政治家と国民は、中国との関係を選択的に見直す包括的な政策を支持するほうが賢明だろう。隣国が何かにつけて脅しをかけ、かんしゃくを起こしやすいなら、冷静さを保ち、笑みを絶やさず、距離を置いて付き合うことが賢明だ。

 


解説

当時の池田勇人首相は「サンフランシスコ講和条約の文面から法律的に解釈すれば、台湾は中華民国のものではございません」と答弁している。続けて池田は、ポツダム宣言などから考えると「日本は台湾の領有権を放棄しており、その帰属は連合国が決めるべ き」とした上で、「中華民国政府が現に台湾を支配」していると指摘。そのために「各国もその支配を経過的なものと申しますか、世界の現状から言って一応認めて施政権があると解釈しております」と述べた。

 

歴史的に考えて、台湾の領有権は中華民国にも中華人民共和国のにもないということですね。「その帰属は連合国が決めるべ き」とした上で、「中華民国政府が現に台湾を支配」しているのが現実ということです。

 

 

台湾の地位に関する曖昧さと経緯については、第2次大戦の主要連合国も認識していた。
近年では、台湾の曖昧な地位に対して強い支持を打ち出す西側諸国も増えてきた。根底にあるのは、71年の国連総会2758号決議だ。同決議の採択により、中華民国(台湾)に代わって中華人民共和国が国連の活動に参加することとなった。

だが、中国政府は決議内容を歪曲し、台湾の主権も中国に付与されたという虚偽の主張を行った。当然ながらナンセンスな言い分だが、多くの国々は貿易や投資の便宜上、これまで中国に同調してきた。

 

ここは重要です。

71年の国連総会2758号決議によって台湾に代わり中華人民共和国が国連の活動に参加することとなりましたが、決議内容には、台湾の主権が中華人民共和国に付与されたとは書かれていないのです。

そこを中国は、無理やりごまかしたのですね。

 

 

日本の政治家と国民は、中国との関係を選択的に見直す包括的な政策を支持するほうが賢明だろう。隣国が何かにつけて脅しをかけ、かんしゃくを起こしやすいなら、冷静さを保ち、笑みを絶やさず、距離を置いて付き合うことが賢明だ。

 

同感です。

頑張れ、高市首相。

 

獅子風蓮