高市首相の「存立危機事態発言」に関して、d-マガジンで興味深い記事を読みました。
引用します。
ニューズウィーク日本版12月9日号
【Tokyo Eye】
What the Japanese Didn't Recognize
台湾有事発言の重大さを分かって
周来友(経営者、ジャーナリスト)

台湾有事をめぐる高市早苗首相の「存立危機事態」発言に端を発した日中間の攻防は、エスカレートの一途をたどっている。「中国が反発するとは思っていたが、ここまでの過剰な反応は想像できなかった」と、ある日本人の知り合いは戸惑いながら言った。しかし、私にはさして驚くべきことではなかった。中国の王毅外相は11月23日、日本が「レッドラインを越えた」と非難したが、中国人の私にはそれが何を意味するか、はっきりと分かる。高市首相は「止まれ」のサインが見えなかったようだ。

トランプ米大統領は当初、日中のいさかいから明らかに距離を置いた。「同盟国であっても友人とは言えない。中国以上に貿易でわれわれから利益を得てきた」。彼のこの意味深な発言に落胆した日本人も多かったのではないか。決して親中ではない韓国も、中国とライバル関係にある地域大国のインドも、長年中国に強硬姿勢を貫いてきたオーストラリアも――日本に援護射撃をした国はほとんどなかった。
では、台湾有事の当事者たる台湾の反応はどうだったか。台湾総統府の報道官が中国に対し、責任ある大国として行動し、地域のトラブルメーカーにならぬようクギを刺した一方、最大野党の中国国民党からは、台湾びいきの日本人が聞いたら悲しむような発言も飛び出した。高市首相の集団的自衛権の解釈は誤りである、台湾問題に日本は過度に介入すべきではない……などと高市発言を批判したのは、同党所属で親中派の馬英九元総統だった。台湾側も突然の事態に「戸惑っている」のが本当のところではないだろうか。
こうした状況を前に思うのが、中国にとって何がレッドラインで、それを越えるとどうなるかを多くの日本人はほとんど理解していないということだ。先日、自宅を出たところで近所の日本人女性から声をかけられ、このまま日本と中国が戦争に突入する可能性はあるのかと聞かれたが、彼女のように事の重大さを深刻に捉えている人は少数派だろう。
中国にとって台湾統一は国家の悲願であるだけでなく、習近平国家主席が最も重視している課題の1つだ。そのため中国の政治家は、たとえ知日派であっても必然的に強硬な態度に出ざるを得ないのである。まして中国では政治的に失脚すれば単なる政界引退では済まない。 痛くもない腹を探られないためにも強気な発言は必要不可欠だ。そして事がここまで大きくなると、日本好きの一般人も周囲の目を恐れ、大っぴらにそれを公言しにくくなる。
もちろん、日本人、特に一般の人々が中国の過激な反応に疑問を抱き反発を覚える気持ちは十分に理解できる。ただ、中国側にはこういった事情があることもぜひ知っておいてもらえたらと思う。
来日して38年、この間に長くても7~8年、短い時は5~6年ごとに日中関係が悪くなるのを私は見てきた。今回の危機がいつまで続くかと言えば、正直なところ、落としどころが見つからない。習主席の側には経済悪化の内憂から国民の目をそらす意図もあり、高市首相の側には支持層である保守派へのアピールと憲法改正の野望も背景にあるだろう。「日本と中国は戦争に突入するのか?」――しばらくはどちらも一歩も引かず、冷戦に突入するのではないか。状況を打開できるのはトランプ大統領による仲介だけかもしれない。
日本では昨今、排他的雰囲気が漂いつつあるが、日本好きな一般の中国人までが差別の対象になり、ヘイトクライムが起こるような事態にだけはならないでほしいと強く願っている。冷戦の原因はあくまで両国の為政者。一人一人冷静に勇気を持ち、ポピュリズムという火に油を注がないようにしてもらいたい。
【解説】
もちろん、日本人、特に一般の人々が中国の過激な反応に疑問を抱き反発を覚える気持ちは十分に理解できる。ただ、中国側にはこういった事情があることもぜひ知っておいてもらえたらと思う。
(中略)
日本では昨今、排他的雰囲気が漂いつつあるが、日本好きな一般の中国人までが差別の対象になり、ヘイトクライムが起こるような事態にだけはならないでほしいと強く願っている。冷戦の原因はあくまで両国の為政者。一人一人冷静に勇気を持ち、ポピュリズムという火に油を注がないようにしてもらいたい。
私も戦争に至るような事態は避けたいと思います。
ですが、サラミを薄く切り削ぐように、日本の領土と主権を少しづつ奪おうとする中国の侵略的な行為には、毅然として反対していかなくてはならないと考えます。
獅子風蓮