獅子風蓮のつぶやきブログ

創価を卒業し、組織にしばられず、いろいろ考えたりしたことや、読書感想などを書いています。

宇留嶋瑞郎『民主主義汚染』を読む その13

最初のころ、私は乙骨正生氏の著書「怪死……」を読んで、女性市議転落に創価学会がかかわっているという疑惑があることを知りました。
このブログでも連載しました。

しかし、別のところ(獅子風蓮の夏空ブログ)でも書きましたが、宇留嶋氏のブログと著書を読み、考えを改めました。

 

そこで、この本を紹介したいと思います。
宇留嶋瑞郎(うるしま・よしろう)
『民主主義汚染 東村山市議転落と日本の暗黒』
ニコン企画・発行
長崎出版株式会社・発売
(1998.03)

目次

第一章 当選返上

第二章 矢野という「草の根」の来歴
 □60件を超す珍しい 「訴訟運動家」
 □公民館活動で知り合った仲
 □「東村山市民新聞」で行政批判
 □明代の「傍聴席との二人三脚」
 □東村山市立四中をめぐる二つの事件
 □提訴を宣伝材料に
 ■信じられない決議案
 □創価学会攻撃に転じた「草の根」
 □ついに自ら市議選に


第三章 万引き事件発生

第四章 錯誤と悲痛

第五章 転落死と空白の2時間

第六章 小さな正義

第七章 捜査終結から逆転判決へ

あとがき

 


第二章 矢野という「草の根」の来歴

信じられない決議案

いくつかの珍ケースをみてみよう。
93年12月議会の最終日、奇妙な決議案が明代を除く全議員の賛成で議決された。 「複数会派が共同して使用する議員控室については、共同使用する他の会派の議員が、議員以外の来訪者の退室を求めた場合、当該来訪者は速やかに退室しなければならない」
まさかと思われるが東村山市議会では、このようなきわめて当たり前の話をわざわざ決議しなければならなかった。というのも、どうしても常識の通用しない人間が、議会と傍聴席に存在したからである。
またその前年、明代が議会で議長交際費から右翼に対して公金を支出しているなどと発言し、矢野の「東村山市民新聞」でも同主旨の記事を掲載したことから、東村山市議会も市民全体の信頼が損なわれるとして、明代を除く議員全員の責任で今度は発言に責任をもつ「超党派でつくる新聞」を発行することになった。
政治思想や立場の異なる議員が立場を超えて結束するということは、さまざまなしがらみもあって口でいうほど簡単なことではない。しかし、これは議会がようやく事態を知った結果といえ、市民のためにも進歩だった。では、議会はなぜ、こんな当たり前の話をわざわざ決議しなければ ならなかったのか。
超党派でつくる新聞」はその理由を大要こう伝えている。
〈議会には議員が打ち合わせをしたり休憩したりする控室が各党別にあるが、一人会派である朝木議員など四会派はひとつの控室を共同使用している。ところが、朝木議員の仲間である「東村山市民新聞」の代表者が、あるときは無断で出入りし、またあるときは入り浸りという状態が続いている。あるとき、同室議員が会議を開くため同代表に退室を求めたところ、退室するどころか逆に「会議があるならお前たちが出て行けばいい」といい出す始末。またあるときには、「出て行く理由がない」と、今度は暴力的な言動で威圧するという状況だった。普通では信じられないようなことだが、多くの議員や職員がこれを目撃しており、ついには議長が注意したが同代表は退室しなかった〉
議員でもない矢野穂積が、あたかも議員であるかのような傍若無人のふるまいをしていたことがわかる。また同じ12月議会では、もうひとつ、次のような当たり前の議案が議決されている。
「議員から提出された質疑及び質問通告書の内容について、執行者側に聞き取りの必要が生じた場合には、当該議員のみに行うこととする」
もちろん質問通告書について聞かれた場合は、それを提出した議員が答えるべき、というだけの、何でもない話である――。東村山市議会とはいったいこれまでどういう議会だったのか。それについても、「超党派でつくる新聞」の説明ではじめて納得がいく。
〈質問内容の意味が不明の場合、職員が当該議員に聞き取り調査を行うことがある。ところが、当市の実情は、朝木議員から提出された質問通告書の内容について職員が質問しても、ほとんどいつも朝木議員と一緒にいる「東村山市民新聞」の代表者が口を出して、あたかも同代表者が質問通告をしたかのような振る舞いが見受けられる状況なのだ〉
何という議会だ! と思うが、簡単にいえば、明代が矢野の傀儡であり、事実は矢野の操り人形として市議会に名を連ねているだけだったということ。しかし、明代が民主政治で選ばれた代表である以上、議員たちには二人の専横を阻むには「議員辞職勧告」をするか、このような「破天荒」の決議をしても、なんとか本来の議事進行をせねばならなかったのだということである。「超党派でつくる新聞」の発刊は、「草の根」にとって、自分が議会のまったくのお荷物になっていることを意味していたと同時に、もうひとつ重要な意味を持っていた。これまで、「東村山市民新聞」で誹謗されたり中傷された相手はこれといって有効な反撃手段を持たなかった。ましてたとえ裁判に勝っても、矢野の新聞では矢野側の勝訴のように書かれる。なにより全戸配布の威力は大きく、何をやっても「草の根」の宣伝材料となった。
ところが、そんな「草の根」と被害者の関係を変化させたのが「超党派でつくる新聞」だったのである。それはちょうど「ナチス」の宣伝相ゲッベルスのやり方に、ようやくドイツ議会が自らの意見をいうべく別の新聞を自ら持ったというような関係だろう。もちろん現実のドイツではそれは起こらなかったが、ここ東村山ではようやく「超党派でつくる新聞」によって、「草の根」ははじめて受け身に立たされることになったのであると理解できる。
もともと、「超党派でつくる新聞」が発行されるきっかけとなったのは、明代の「議会は右翼関係者へ公金を支出した」とする発言にあった。そしていつものように、矢野がさらに「東村山市民新聞」で騒いでこの発言を後押ししたことで、「議会では公金から不等な支出が行われている」という風評が市内に流れはじめた。議会では本会議の議決によって実態調査を議会運営委員会に付託、その結果、明代の議会での発言が現実には根も葉もない妄言にすぎないことが判明したのだった。この結果を受けて、議会は本来なら「議員譴責」決議をすべきだったろう。しかし92年12月16日付「超党派でつくる新聞」の第一号はただ事件経緯をのみこう書いた。
〈朝木明代議員は、市職員がロビーで話をしているそばを通っただけで、その相手が「異様な雰囲気だから」「右翼か暴力団」と決めつけ、「渡した領収書は、議長交際費からの公金支出」などと、どこをどう押せばそんな言い方が出るのかわからない発言。電話で当人にその実態をつかむためと称して「電話での会話を了解もとらずに録音・公表」。議員という立場を利用してか、議会という公式の場においては「この録音テープが立派な証拠」と気炎を吐く始末。
議会が付託した議会運営委員会の調査によれば、もちろん「そのような事実はなし」。この付託については当の本人も賛成していた。(ところが自分に不利な調査結果が出ると、今度は)その報告書に「そんなものが」と言い出す始末。議会で「反省しなさい」との決議(=「朝木議員に猛省を促し、陳謝を求める決議」)を出せば、全く無視した態度を取り続ける始末。
――(右の議決に際して)「除斥だから」といっても、自分の席に座り込んで離れず、議会の審議の妨害をする始末。市議会には実力行使が認められていないことを逆手に取ったような傍若無人ぶりで、エヘラエヘラと笑っているだけ〉
これならば、議会から全戸配付の新聞でいくら徹底的に批判されようと、恥を恥ともしないことで、矢野と明代は議会や市役所の鼻をあかす次の方法を考えられる。「超党派でつくる新聞」はその後もほとんど「草の根」批判のみを続けた。「これでも議員なのか!?」「何のための裁判か」「どちらが議員か?」「裁判ごっこマニア?」「市民を欺くビラの手口」いくら不定期刊行だったとはいえ、「超党派でつくる新聞」は新聞の折り込みによって全戸配布される。いったいどのくらいの費用がかかったのか。
一方、これまで攻撃された経験のない「草の根」にとって、事態はますます面白くなかった。しかもようやくここにきて、日ごろから「東村山市民新聞」の記事内容に怒りを覚えていた市民から、それらしい反響も出るようになった。矢野のやり口を今度は先取りして、「超党派でつくる新聞」にはこんな投書も載った。

市内男性より
東村山市民新聞」には毎回議員報酬の明細が載っていますが、肝心の新聞発行費用は出ていません。また、朝木議員の生活費がわずか7万円というのも信じられません。
答 この「超党派でつくる新聞」でも、3万3000部で約30万円かかります。「東村山市民新聞」は5万部をはるかに超えると思われますので、これ以上は確実にかかっているはずです。資金の出所についてはまったく謎に包まれたままです。多くの市民が首をかしげています。

一主婦より
3月議会を傍聴に行きました。「東村山市民新聞」を読み、市議会の真実の姿をこの目で確かめたかったからです。私が見たのは、朝木議員が議長さんの再三の注意も無視して早口で何かまくし立てている光景でした。また、傍聴席にいた男性が、ほかの議員さんたちにヤジを飛ばしていました。あの人はいったい何者なのでしょうか。
答 ヤジを飛ばしていた男性こそ、朝木議員と常に行動をともにしている、例のビラの代表者を自認する矢野さんという人です。地方自治法では、議長の注意に従わない議員に当日の発言を禁止することができます。また、傍聴人に対しては退場を命じることも認められているのです〉

とはいえ強制執行権のない地方議会では、議決に従わない議員を警察力で排除することはできない。事態がまことに妙な具合になっていった理由だ。もとより超党派の新聞に、一般市民が参加してきたことは「草の根」にとってはやっかいである。「超党派でつくる新聞」が発行されるたびに彼らは「東村山市民新聞」で反論した。すでに、「民主主義」どころか、「草の根」にとって議会もまた逆恨みの対象となっていたのではないか。
また、議会に対する敵意とともに、2人にはトップ当選のプレッシャーが重なり、議会や行政に対する「草の根」の訴訟は91年以降一気に加速している。つまり明代が初当選した87年から、90年までの一期目までは10件にも満たなかったものが、二期目の91年には議会関係だけで9件、二期目の最後の年である94年までとなると、議会と行政合わせて実に37件である。しかもそのうち、係争中の事件や取り下げ、一件の和解を除くすべてが、「草の根」の敗訴という結果であって、何のための提訴だったか自ずからわかる気がする。当人たちには「闘い」のつもりだろうが、第三者の眼でみていると、明らかに「超党派でつくる新聞」による議会と議員への反目、そして公然と市民の前で批判を繰り返されたことに対する腹いせ、あるいは嫌がらせのように思えてならない。相手が行政、議会であれ、一般市民であれ、気にいらないものはなんでも手当たりしだいに裁判にかけるのが彼らのやり方なら、これは正当な法行為といえるのかどうか。

 


解説

当人たちには「闘い」のつもりだろうが、第三者の眼でみていると、明らかに「超党派でつくる新聞」による議会と議員への反目、そして公然と市民の前で批判を繰り返されたことに対する腹いせ、あるいは嫌がらせのように思えてならない。相手が行政、議会であれ、一般市民であれ、気にいらないものはなんでも手当たりしだいに裁判にかけるのが彼らのやり方なら、これは正当な法行為といえるのかどうか。

 

矢野穂積の情報のみをもとに書かれた乙骨氏の著書や矢野穂積の著書などを読んでいると、矢野穂積と「草の根クラブ」こそが東村山市議会の旧態依然たるムラ意識と戦う正義の存在と思いこまされるのですから、不思議なものです。


獅子風蓮